2016年9月7日水曜日

西山(上早川)&西飛山(上南) 菅笠づくり懇談会

『西山お母さんのデイリー仕様菅笠』(撮影は5月)

9月5日、能生地区西飛山にて「菅笠づくり懇談会」が行われました。
まずは、経緯についてお話します。

話は今年の春に遡るのですが、
5月に西山地区三つ屋のお母さんを訪問した際
部屋の引き戸に菅笠が立てかけてあるのを見つけました。

「この菅笠、可愛いですね~!」 と言ったら、
「おれがつくったんだ」 というのでビックリ!

こんなに身近に、菅笠を手作りしている人がいるんだ!!
と、興奮しました。

お母さんから聞いたこと

学校に上がる前から家の手伝いとして作っていたこと
学校から帰っても、菅笠の仕事が終わらないと遊びに行けなかったこと
年齢によって担当する製作工程が違ったこと
出来上がった菅笠を100蓋(かい)重ねて、西山から梶屋敷まで運んだこと
帰り道には、また色々な荷物を身長の倍以上の高さまで積んで、
西山まで運ばなければならなかったこと、などなど…

貴重な当時のお話を、色々と聞くことができました。

「西山で、今でも菅笠を作ってる人はどれ位いるんですか?」
「さぁなぁ もうだ~れもつくーとらんのじゃないか」
「作り方、教えて欲しい人がもしいたら、教えてもらうことはできますか?」
「こ~んな大変なことやりたい人なんて、どこにもおらんわ!」
「そうかなぁ きっといると思うんですよ~ だって私も作れるなら作ってみたいと思いますもん!(不器用だけど…(^_^;))」

この時、話はここで終わってしまったのですが…

この西山での話を、帰り道に下早川公民館の主事さんにお話したら、

「私も習えるなら習ってみたいわぁ。そういえば、いいものがある!」
と言って、資料室からDVDを持ってきてくれました。

それは、2年前に市教育委員会で制作されたDVDでした。

DVDによると、
糸魚川で菅笠生産組合が作られたのは大正時代で、
「能生谷村菅笠組合」と「西山菅笠組合」 という、二つの組合があったそうです。

そして、現在も菅笠が生産されているのは
能生谷の西飛山集落だけになっていること、
職人さん達も高齢になってきており後継者もいないことがわかりました。

このままだと途絶えてしまう
それで良いのかな?
下公の主事さんが「習ってみたい」と言っていた。
その場に一緒にいた地域おこし協力隊のアライ君も「僕も習いたいなぁ」って言っていた。
私も、習えるなら習ってみたいと感じた。
他にもきっと、習いたい人、作れるようになりたい人がいるんじゃないかな?

西山地区で聞き込みをしてみると、販売用の菅笠は作っていないものの、
自宅用のものを作り替えたり、人に頼まれて作っている人が3人いらっしゃいました。
西山は3人。
西飛山は何人くらいいるんだろう?
西山より人数は多いかもしれないけど、皆さんご高齢であることに間違いはなく、
このままだと、誰に引き継がれることもなく糸魚川の菅笠づくり文化は途絶えてしまう。

そんなの悲しいなぁ。

そんな思いがして、
なんとかこのお父さんお母さん達に、菅笠づくり技術を
地域の若い人や、技術を継承したい人達に伝えてもらえないだろうか?
と考えました。

西飛山集落がある能生上南地区の山本支援員に相談すると、
「一緒に伝承活動、ぜひやりましょう!」と賛成していただけ、
早速動き出そうということになりました。

また、この動きを日報で報告したところ、
職員の方から「今糸魚川にインターンシップで来ている人が、菅笠づくり技術を習得したいと言っていた」という話を聞いて、その方にもすぐにお会いすることができました。

糸魚川に住むことが決まったその女性にも、
「ぜひ、習いたいです!!」というお返事をいただいて、
やはりこの活動は必要なのだという想いを新たにしました。

糸魚川の菅笠職人さん達に、
習いたい人がいることを伝えたい。
そして、なんとか、技術継承に力を貸していただけないか、お願いする機会を持ちたい。

そんな理由から、色々な方にご協力をお願いして、
今回、9月5日に「菅笠づくり懇談会」が開催されました。


会場は西飛山公民館。
西山からはお母さん達が3人、
西飛山からは、区長さんや移住者の方も含めて8人(職人さんは6人)
インターンシップ参加者が2人
その他、市役所や能生事務所関係者で6人
総勢19人での開催になりました。

懇談会では、参加者紹介や、菅笠づくりDVDの視聴、
自由懇談を行いましたが、
懇談では西山と西飛山の菅笠の違いについて話したり、
家族で菅笠を作っていた時代のお話があったり、
皆さん積極的に情報交換や意見交換をされていました。


会の最後に、参加者の皆さんに伝承活動へのご協力をお願いして、
第1回目の懇談会を無事に終えることができました。

今後は、皆さんの通常の菅笠製作に差しさわりがないように気をつけた上で、
技術を伝承していただく機会を作っていきたいと考えています。
どのような形になるかはまだわかりませんが、
伝承者として習いたい方や、そこまではいかないけれど作ってみたいという方、
色々な方に、技術が伝わっていくようなやり方にできると良いなぁと考えています。